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アートギャッベができるまで

こんにちは。スタッフKです。

12月9日(火)放送の「マツコの知らない世界 ~ペルシャ絨毯の世界~」 にて、ギャッベが紹介されました。皆様ご覧になりましたか?

30年前には日本でまだ知られていなかったギャッベ。今では、全国さまざまなお店でギャッベに出会えるようになり、本当に素晴らしい時代になりました。

アートギャッベ

その中でもボー・デコールは20年以上前から、“日本人の感性に響く意匠性” と “自社選定による確かな品質” を持つ《アートギャッベ》をご紹介しています。

普段、ボー・デコール新潟店にあるアートギャッベの多くは、県外の提携店舗や百貨店へ卸しているため、新潟に揃う枚数は限られています。

しかし 年末年始のこの時期だけは、県外から多くのアートギャッベが新潟へ戻ってくる特別なタイミング。ぜひお気軽にお立ち寄りいただけましたら大変嬉しいです。

さて!前置きが長くなりましたが、本日はアートギャッベができるまでの工程を、織子さん、そして素晴らしい技を支えてこられた職人の皆様に敬意を込めて、ご紹介させていただきます。

 

アートギャッベができるまで

目次

春毛と夏毛の違い

羊毛の刈り取りは春と秋の年2 回。

秋毛は雨が少ない夏の間、羊たちの餌となる草が少ないことと、強烈な夏の太陽にさらされ毛が焼かれるため、硬く短くなります。

一方で春毛は細く柔らかで長く、毛に含まれる油分も豊富。

アートギャッベは春に刈り取った毛のみを使用することで、上質な絨毯に仕上がります。

こだわりの手つむぎの糸

アートギャッベの魅力の秘密は、手つむぎの糸。

滑らかな肌触りと強い弾力性で、機械紡績の糸ではこの味は出せません。

世に出回っているギャッベの中には、簡単に手に入る機械紡績の糸で織られたものもございます。

アートギャッベの手つむぎの糸は、1 本1 本撚り糸の太さや強度が異なり、深い味わいを引き出してくれるのです。

美しい草木染めの色合い

糸を太さや色で分け、それぞれの羊毛に合った染め色を決めます。

クルミやザクロの皮、茜の根・ウコンなど、数十種類の植物を使って染めていきます。

植物の配合を変えて作り出す色は300 色を超えます。

上質な手つむぎの糸に、草木染めの優しい色合いが混ざり合うことで、美しい表情が生まれると職人さんは言います。

楽しい気持ちで織る

経糸2 本に色糸を絡ませて結び、一列終わると緯糸を通し、シャーネと呼ばれる器具で強く叩いて締めていく。

この根気のいる作業を、1日に何千回も繰り返します。

熟練の織子さんでも、1 日に数センチ織るのがやっと。

ギャッベは幸せな日々が続くように、願いを込めて織るもの。だから楽しい気持ちで織るのが大事だそう。

羊毛だからこそできること

織り上がった絨毯は、遊び毛などが残っており、特に裏側はそのまま使うとチクチクしてしまいます。

これを大きなガスバーナーで勢いよく焼ききります。

燃えてしまわないか心配になるくらいの炎の大きさですが、羊毛は難燃性なので大丈夫。

火がついてもチリチリと焦げ付くだけで、自然に鎮火してくので問題ありません。

ブラシで焦げをとる

バーナーで裏面を焼かれたギャッベは、焦げ付いて真っ黒に。

せっかく織った絨毯が!と驚いてしまいますが、焦げはブラシで簡単に落とせます。

薪ストーブなど、火の粉が飛んでくる場所でも安心してお使いいただけるのも納得ですね。

炎を眺めながら絨毯の上で寛ぐひとときは、最高に心地よさそうです。

自然の中で織られるからこそ

長い時間をかけて織られるギャッベは、外で織ることも多いので、埃や砂や草などが紛れ込んでいます。

直径5mほどの大きな専用の機械で細かいゴミなどを取り払います。

ときどき取り切れなかった草などが使っているうちに顔を出すことがありますが、そっと指で抜き取ってあげてください。

不揃いな毛を揃える

織り上がったばかりのギャッベは毛足がとても長く、長さもバラバラ。

この不揃いな毛の長さを揃えるために、シャーリングと呼ばれる電動バリカンで、毛を刈り込みます。

一瞬の間違いで手間暇かけて織られた絨毯が台無しになってしまうので、仕上げの作業の中でも特に重要で緊張する仕事なんだそうです。

力いっぱいジャブジャブ洗う

長さ100mほどもある広いコンクリート敷きの洗い場。

いっぱいに並べられたギャッベに、大型の蛇口から一斉に水がかけられ、専用の洗剤で洗っていきます。

農作業で使う鉄の鍬のような道具で、力いっぱいに裏表2回ずつ丁寧に仕上げます。

力を掛けて丸洗いできるというのは、ギャッベが堅牢な証拠でもあります。

高速回転で水を飛ばす

洗い終わったギャッベは、水をたっぷり含んでものすごく重くなります。

乾いていれば1 人で軽々持てるサイズでも、濡れた途端に男性2、3人で持たなければいけなくなるほど。

イランに行ったスタッフもその重さにびっくりしていました。

手早くくるくると丸め大型の脱水機に入れて、高速回転させて脱水します。

太陽の力で一気に乾燥

脱水が終ったギャッベは、サッカー場ほどの広さのある干し場に広げられ、直射日光の下で天日干しされます。

イランの気候は、夏はほぼ晴れ。湿気が少なく乾燥状態が続くので1 日もあれば乾いてしまいます。余談ですが、

この一面に色とりどりの絨毯が並ぶ様子を見て、パッチワーク模様のギャッベが生まれたそう。

フリンジは残しません

織り機から切り離されたままの状態となっている経糸の両端を丁寧に織り込んでいきます。

この経糸をフリンジ(房)としてあえてそのまま残す絨毯もよく見られますが、強度を増すためと絵のように見せるため、あえてフリンジは残さずしっかりと織り込み固定します。

これは、こちらの工房のギャッベならではのこだわりです。

引っ張って固定

遊牧民の水平機で織られたギャッベは、経糸や緯糸の強度さによって、多少の歪みが生じます。

棘のついた専用器具を使い、ギャッベを引き伸ばし、釘を打って固定します。

そのまましばらく放置し、時間をかけてゆがみを補正していきます。

この作業のおかげで、端が丸まりにくくなります。

仕上げのシャーリング

ここまできて、実はもう一度電動バリカンによる刈り込みが行われます。

水洗い、乾燥を経たギャッベの毛並みは硬くバリバリと硬くなります。

そんな固まった毛をブラシでほぐしながら、仕上げのシャーリングを施します。

2 回目のシャーリングをすることで、表面が滑らかに美しく整います。

より頑丈に

経糸を織り込む仕上げは手作業で行われますが、さらに強度を高めるため、専用の機械に入れ圧力をかけて両端部分をプレスしていきます。

ギャッベの両端が硬く締まっているのはこの作業のおかげ。

こうすることで、経糸からのほつれが防止され、丈夫なギャッベに仕上がります。

一番傷みやすい部分を補強

耳とよばれる絨毯の左右の仕上げ作業。

側面は最も傷みやすい部分でもあるため、このかがりの作業はとても大事です。

毛足出ている部分は頑丈に織られていても、この側面からほつれてしまうということも。

ここから経糸が切れることもあり得るので、十分な補強をほどこしていきます。

最後の仕上げ

ギャッベの補強作業中に出た、目に見えないくらいの細かな無駄毛を取り除くため、ハンド・バーナーで軽く焼き切ります。

最後の最後まで徹底して品質の良さを追い求めます。

織子さんの織りの技術だけでなく、その後の仕上げの工程の多さや品質の向上を目指す姿に、ものづくりに対する心意気を感じます。

最終チェック

たくさんの工程を経て仕上げられたギャッベは、最後に管理室に運ばれ不具合がないか1 枚1 枚丁寧に検品されます。

飛び出た毛をカットしたり、異物が入っていないかなど、細かくチェックしていきます。

ここで合格したギャッベが、出荷用の保管倉庫に運ばれ、世界へと旅立っていきます。

まずは感性に響くものを

ここでようやくボー・デコール選定人の登場!

実際に現地まで赴き、選定をしていきます。まずは心に響くデザインかどうかを「Check !No !」とテンポよくどんどんと振り分けていきます。

選ぶ基準は、手仕事感をより感じられるもの。

ちょっと線が曲がっていたり、途中で柄が途切れていたりするものが好きです。

30 年使い続けられるように

振り分けた絨毯の品質をすべてチェックしていきます。

30年使い続けられることを基準に「肌触り・毛質・織り・弾力・密度・裏面」を確認。

ただし、1枚に掛けられる時間はわずか30秒ほど。

長年ギャッベを選び続けてきたからこそ、短い時間で品質の良し悪しを瞬時に見分けることができるようになりました。

日本へ向けて出荷

以前は船便で3 ヶ月ほどかけて運んでいましたが、近年の世界情勢の影響で航路が封鎖され、現在は飛行機で日本へ送っています。

1 ロールに何枚も入っているため、80~100 kg になることも。

とても重いので降ろす作業も一苦労。

ギャッベを見る楽しみで、その時は疲れは感じませんが、次の日しっかり筋肉痛です。

1 枚1 枚触ります!

入荷したギャッベはスタッフの手によって、最終検品が行われます。

全てのギャッベを手で触り、「肌触り・毛質・織り・異物」を細かくチェック。

お客様がご自宅で寝転んでも安心してお使いいただけるように、入り込んでいる硬い草や棘などが紛れ込んでいないかを丁寧に見ていきます。

金属探知機で最終チェック

何度も検品が行われたギャッベですが、最後に金属探知機を使って異物がないか確認していきます。

形を整える際に使用した釘や補修の針など(もちろん職人さんは残さないようにチェックしていますが)、厚みがある分触診だと分かりにくい場合も。

異物が紛れ込んでいないかを機械を使って最終チェックします。

まとめ

いかがでしたか。

これだけの工程を経て出来上がった一枚一枚特別な絨毯を、ボー・デコールではご紹介しています。

丁寧につくられたものを、愛着を持って長く愛用する暮らし。

絨毯展は12月20日(金)から。

もちろんご予約なしでもご覧いただけますが、この美しい絨毯をゆっくりご覧いただきたいので、ぜひ「見てみたいだけ」という方もお気軽にご予約ください。

お話できる日を楽しみにしております。

ご予約はこちらから

上質な羊毛じゅうたんが温かい理由

冬にお洋服でも活躍するウール素材。

私達ボー・デコールは天然ウールで織り上げるじゅうたんを、25年以上前からご紹介しています。
様々な繊維がある中で、なぜウールなのか?

様々な理由がありますが、今日は羊毛じゅうたんの温かさについて触れたいと思います。

目次

なぜ羊毛じゅうたんは温かいのか?

羊毛はそもそも熱伝導率が低い繊維です。
ではそもそも熱伝導率が低い素材・高い素材はどのようなものがあるでしょうか。

熱伝導率が高い素材の例として、金属があります。
逆に熱伝導率が低い素材として、木材があります。

皆さん少し想像してみてください。
ガスコンロに数秒あてた金属を素手で触ると、熱すぎて火傷をしてしまいます。

一方、同じガスコンロに数秒あてた木は焦げはするかもしれませんが、金属と同様に火傷をするくらい熱くなるでしょうか。

答えは、同様に火傷をするくらい熱くなりません。
これが熱伝導率になります。

木材と同様、羊毛も熱伝導率が低いため身体の体温がじゅうたんに奪われにくく、ぬくもりが保たれるのです。

 

天然の断熱材と呼ばれる所以は?

羊毛繊維はクリンプという縮れがあり、その間にたくさんの空気層を含みます。
この空気が存在することによって、外気の冷たさを伝えにくくし、床からの冷えなどを遮断してくれます。

アートギャッベの羊毛 ロン毛の直毛

この空気層に暖気が含まれれば温かさが保持され、逆に冷気が含まれれば冷たさが保持されるということ。

そのため、エアコンの冷気・暖気も保持してくれやすく、光熱費の削減にも繋がるのです。

 

一年中快適な理由は

これを語るのに、一番重要なのが『湿度調整をしてくれる』ということ。

羊毛は、生き物のように常に呼吸をしています。その際に、羊毛にとって一番過ごしやすい環境に整えるため、人間も心地よい環境を作り上げてくれるんです。

季節で例えると夏場は非常に湿気が多い季節です。
羊毛は、その湿気を吸い乾いた空気に替えて吐いてくれます。

湿気が少なくなるということは、その分気温を調整してくれるということ。

逆に冬場はどうでしょう?
乾いた空気を吸って、湿気を吐いてくれます。

だから羊毛じゅうたんを敷いたお部屋の中は、一定の温度を保とうとしてくれるため快適な空間へ変えてくれ年中快適となるのです。

まとめ

・羊毛は熱伝導率が低い繊維
・クリンプという縮れがあり、その間にたくさんの空気層を含み
・湿度調整をしてくれるため、お部屋の中を年中快適にしてくれる

いかがでしたでしょうか。ボー・デコールがある新潟も冬本番で、随分寒くなってきました。
アートギャッベやハグみじゅうたんのように、上質な羊毛を使ったじゅうたんは、特に重宝致しますので是非一度手に取ってみてくださいね!

12/10(水)特別に営業いたします

こんにちは。

普段は水曜日がお休みですが、明日12月10日(水)は特別に営業いたします!

アートギャッベや家具、リネンカーテンなど、自然素材のインテリアが揃っています。普段は休みが合わず中々ご来店が難しかった方など、皆様この機会にお待ちしております。

ボー・デコール新潟店
〒956-0031 新潟県新潟市秋葉区新津4462-3
時間 : 10:30~18:00
TEL:0250-21-3939

新潟店外観